七円玉の読書記録

Researching on Nichiren, the Buddhist teacher in medieval Japan. Twitter @taki_s555

日蓮

国立国会図書館ウェブ公開中の日蓮書簡集について

近代から出版された日蓮(1222-82)の書簡集は、国立国会図書館(NDL)で閲覧可能であり、中には版権切れからウェブ公開され、ダウンロードできるものがある。しかし入力された書誌情報が不正確なためか、見つけづらいものがある。ここではウェブ公開中のも…

日蓮書簡における「折伏」の用法

日蓮の法華経弘通の方法と法華経の教えの解釈に「折伏」という語がある。特に前者は日蓮系教団のみならず日蓮のイメージとして広く人口に膾炙してきた。これについて論ずるのは、あまりに膨大な先行研究を前に鵜の真似をする烏となる。 今ここで確認したいの…

Jacqueline I. STONE, “The Atsuhara Affair”を読む

Jacqueline I. STONE, “The Atsuhara Affair: The Lotus Sutra, Persecution, and Religious Identity in the Early Nichiren Tradition”, Japanese Journal of Religious Studies, vol. 41/1, pp.153-189, 2014 本稿は、日蓮(1222-82)の最晩年に富士地方…

「抄」と「鈔」について――日蓮書簡の題名覚書

日蓮の書簡・著作の題名には「○○抄」と名づけられたものが多い。これは「撰時抄」等、日蓮自身が真蹟で付けた場合と、「如説修行抄」や「兄弟抄」など写本によるか後世に読み習わされてきた場合とがあり、後者が圧倒的に多い。この「抄」という字について素…

上原專祿『クレタの壺』(評論社):文献学的研究と信仰

以前書いた上原専禄『生者・死者――日蓮認識への発想と視点』(未来社)に感化された私は、今度は彼の『クレタの壺 世界史像形成への試読』(評論社、1975年初版)を再読してみました。読んだのは、私が信奉している法華経と日蓮に関するところを中心にですが…

上原專祿『死者・生者ー日蓮認識への発想と視点』(未来社)

歴史学者の上原専禄(1899-1975)という人物については、彼の著作『死者・生者ー日蓮認識への発想と視点』を読むまでは知りませんでした。門下には阿部謹也もいるのですね。 上原は1969年に自分の妻を病で亡くしますが、それは医師の誤診どころか不正や非道…