七円玉の読書記録

Researching on Nichiren, the Buddhist teacher in medieval Japan. Twitter @taki_s555

仏教

仏教における「時」の意味:メモ

時間としての縁起=因果、過去・現在・未来という三世、法華経における三千塵点劫、五百(千万億那由他阿僧祇)塵点劫=久遠という過去等、仏教で扱う「時」の例は枚挙に暇がない。その意味合いは色々と整理が必要ではあるが、下田正弘氏の次の指摘は大変興…

船山徹『仏教の聖者 史実と願望の記録』(臨川書店):覚っていいの?

船山徹『仏教の聖者 史実と願望の記録』(臨川書店、2019年)を読了。 仏教において「私は覚った」と周りに触れ回る人はいないだろう。仏弟子がそう言えば、「おいおいなに言っちゃってるんだ、お前は増上慢(覚っていないのに覚っていると思いあがる)だ」…

下田正弘『パリニッバーナ 終わりからの始まり』(NHK出版):戒律は“健康的な生活習慣”

仏教聖典形成史を専門とする下田正弘氏の『パリニッバーナ 終わりからの始まり』(NHK出版、2007年初版)は一般人向けの100ページ超の短い書ですが、絶版でもあり、あまり知られていないようです。事あるごとに読み返したい一冊なので、メモしておきました。…

平岡聡『南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経』(新潮新書)

なんとも、おどろおどろしいタイトルのような。仏教学者の平岡聡氏による『南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経』(新潮新書)です。 人と法の関係について ライトな新書ですが、結構、鋭い引用があったので、メモします(同書75頁)。三枝充悳『ブッダとサンガ』…

高崎直道『『涅槃経』を読む』(岩波現代文庫):仏教の歴史は「師弟の歴史」

以前、高崎直道『『涅槃経』を読む』(岩波現代文庫)という本を読んで感銘を受けました。以下、雑感を記します。 仏教の歴史は「師弟の歴史」であることを痛感します。それは釈尊という師とそれ以外の弟子という意味の師弟であり、また各宗派の祖師とその弟…