七円玉の読書記録

Researching on Nichiren, the Buddhist teacher in medieval Japan. Twitter @taki_s555

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

日蓮「開目抄」:日乾による真蹟対校本の翻刻⑨

小考を記して本範囲の解題とするが、稿を改めた。「「開目抄」における法華経勧持品・不軽品の引用文の合成」を参照されたい。 (81)カカタ〱疑ハシ而ニ法芲経ノ第五ノ巻勧持品ノ二十ノ偈ハ日蓮タニモ此ノ國ニ生スハホトヲト丗尊ハ大妄語ノ人八十万億那由他…

日蓮「開目抄」:日乾による真蹟対校本の翻刻⑧

日蓮自身の誓願が明かされる。また天台大師や伝教大師よりも自身の慈悲が優れているとまで宣言しておきながら、一転して天の加護がない、自分は法華経の行者ではないのか?と自問する。この落差、起伏、うねりに圧倒されるが、当時の「今日切る、あす切る」…

仏教における「時」の意味:メモ

時間としての縁起=因果、過去・現在・未来という三世、法華経における三千塵点劫、五百(千万億那由他阿僧祇)塵点劫=久遠という過去等、仏教で扱う「時」の例は枚挙に暇がない。その意味合いは色々と整理が必要ではあるが、下田正弘氏の次の指摘は大変興…

日蓮「開目抄」:日乾による真蹟対校本の翻刻⑦

日蓮による仏教史の叙述は、「開目抄」に限らず「撰時抄」「報恩抄」等、仮名交り文に頻出する。開目抄では今回63頁からの法相宗日本伝来の御代について、人王三十七代孝徳天皇か第四十五代聖武天皇か、諸本で異同があり少々注釈した。こうした叙述は翻刻④で…